大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和30(オ)636 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告理由第一点について、

原審は、本件和解条項第一項に「被上告人は、昭和二五年九月二五日から、本件

建物の大修繕工事完了まで明渡すこと」という記載があるけれども、それは、上告

人において同日以降本件建物の修繕工事に着手し、被上告人は右工事の着手と同時

に、右明渡をすれば足りるという約旨であつた旨判示しているのである。ところで、

和解の内容を確定するに当つては、その文字のみに拘泥すべきではなく、他の証拠

と綜合して当事者の約旨を探求すべきことは当然であり、而して、原審挙示の証拠

によれば、当事者の約旨は、右原判示のとおりであつたことを十分首肯し得る。そ

れ故、所論は採用し難い。

同第二点について、

原審は、上告人が本件和解調書に基く強制執行を執行吏に委任し、執行吏は被上

告人に対し、右和解条項の文言に従つて明渡を要求したので、上告人は之に従うの

外なしと考え一応本件建物を明渡したことを認定しているだけである。所論の如く、

被上告人が、大修繕完了まで係争建物につき、使用収益の権利を放棄し、またはそ

の権利を主張しない意思を表示したというような事実は、なんら原審の認めていな

いところであり、所論の証拠資料によつても、右事実を認めねばならぬことはない。

所論は、独自の見解であつて採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

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裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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